歴史
当寺院は、浄土真宗本願寺派（西本願寺）樹南山西運寺です。新潟県糸魚川市（旧能生町）にあります。 １９５５（昭和３０）年の火災により、本堂・庫裏・鐘楼等を焼失したため詳細はわかりませんが、創立は１６５６（明暦２）年と言われています。 一説には１５８４（天正１２）年とも言われています。
また、地域や門徒宅に残されている古文書等には「西雲寺」との記載があり、別場所（現在の糸魚川市田麦平の奥地）から現在の場所に移動し寺院名を西運寺に変更したとも言われています。ですから、実際の創立はもっと古いのではないかとも言われています。
本堂
現在の本堂は１９５６（昭和３１）年に建立されました。 その後、本堂外壁・基礎や内陣の改修、天井絵の設置等を経て現在に至っています。
現在は寺院行事や法事・葬儀・結婚式・初参式等の仏事に利用されています。 内陣の天井絵は中央に天人と蓮、左右の余間に地元で咲く花が描かれています。
内陣 天井画
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浄土をあらわす本堂の内陣
浄土真宗における本堂の内陣は、阿弥陀如来が説く「浄土の世界」をあらわしているとされます。
そのため西運寺の天井には、「天人と蓮」の絵を描いています。
蓮の花が咲きほこる空を、天人たちが楽を奏でながら舞い、五色の雲がその上空に流れていく──
そんなひとつの「浄土」のイメージです。
蓮と楽器に込められた意味
蓮は泥に根を張り、まっすぐ茎を伸ばして美しい花を咲かせます。
泥を人の「煩悩」、花を「悟り」にたとえることから、仏教美術によく登場します。
また、天人が奏でる三種の楽器にもそれぞれ意味があります：
・笙（しょう）…天から差し込む光
・龍笛（りゅうてき）…空を舞い立ちのぼる龍
・篳篥（ひちりき）…地にこだまする人の声
この3つの楽器が奏でられることで、まるで宇宙そのものをつくり出すかのような世界が生まれます。
余間に描かれた四季の野の花
内陣の余間（よま）には、地域とのご縁を大切にする想いから、西運寺周辺で見られる野の花を中心に96種を描いています。
・右余間（向かって左）：春から夏の花
・左余間（向かって右）：夏から冬の花
それぞれ実際にスケッチや写真で取材した花をもとに、坊守が丹念に描き上げました。
二河白道(にがびゃくどう)庭園
- 「二河白道」をイメージした庭
庫裏の北側には、浄土往生を願う心のあり方をあらわす「二河白道」をイメージした庭園を造りました。
二河白道とは──
ある人が西に向かって歩いていると、突如として火の河と水の河に阻まれます。 振り返ると、後方から群賊や悪獣が迫ってくる。火と水のせめぎあう間には、幅わずか10センチほどの一本の白い道が伸びています。 それは唯一の道。その道を進むしかありません。
そのとき東の岸から「この道をたづねて行け」と声が聞こえ、 西の岸からは「直ちに来たれ、我よく汝を護らん」と呼ぶ声が響きます。その声を信じ、ただひたすらに進んでいくと、やがて善き友と出会うことができた── そんな浄土のたとえ話が「二河白道」です。
この庭では、中央に白い橋を架け、その北側に火の河をあらわす赤い伊勢砂利、 南側に水の河をあらわす白い白川砂利を敷いています。
東から西へ歩ける構造となっており、 西の岸には阿弥陀三尊、東の岸には釈迦三尊をそれぞれ石組で表現しています。 阿弥陀三尊には地元・糸魚川の姫川石、釈迦三尊には阿波産の青石を使用しています。
